| プロジェクト区分 | フルリサーチ(FR) |
| 期間 | 2019年04月 - 2027年03月 |
| プログラム | 実践プログラム2:多様な資源の公正な利用と管理 |
| プロジェクト番号 | 14200145 |
| 研究プロジェクト | 陸と海をつなぐ水循環を軸としたマルチリソースの順応的ガバナンス:サンゴ礁島嶼系での展開 |
| プロジェクト略称 | LINKAGEプロジェクト |
| プロジェクトリーダー | 安元 純 |
| URL | https://www.chikyu.ac.jp/rihn/activities/project/project/12/ |
| キーワード | サンゴ礁島嶼系、陸と海をつなぐ水循環、自然資源の利用と管理 |
研究目的と内容
目的と背景
熱帯から亜熱帯にかけて分布するサンゴ礁島嶼では、地下水や湧水といった限られた水資源が古くから大切に利用されてきた。水は陸と海をつなぐ役割を持ち、小さなスケールの水循環を通じてサンゴ礁生態系と人々の暮らしを支えている。こうした島々は、生物や文化の多様性を育んできたが、近年、土地利用や社会経済の変化により水資源の枯渇や水質悪化が進み、水循環を介したサンゴ礁生態系の劣化が懸念されている。さらに、気候変動に伴う降水パターンの変化、海面上昇、海洋酸性化などの影響が重なり、島嶼社会の自然資源利用に深刻な影響を及ぼしている。こうした状況のもとで、島嶼の水資源や水産資源を持続的に利用し、気候変動や社会変化に対応しうる体制を構築するためには、順応的ガバナンス(adaptive governance)の強化が不可欠である。
本プロジェクトは、サンゴ礁島嶼における水資源の減少や汚染、沿岸生態系の劣化、生態系サービスの低下という三つの連関した地球環境問題に対し、「陸と海をつなぐ水循環(Land–Sea Linkage)」を基軸に、マルチリソース(水資源・森林・サンゴ礁生態系など)の相互作用構造を明らかにし、その持続的利用を可能にする順応的ガバナンスの理論と実践モデルを構築することを目的とする。陸と海を媒介する水循環を、自然・社会・文化の三側面から統合的に把握し、変化する環境下で人と自然の関係を再構築するための知の体系を形成することをめざしている。
具体的には、安定同位体や環境トレーサー、メタゲノム解析を用いた自然科学的アプローチにより、陸と海の水循環の実態を解明し、気候変動や社会経済の変化に対するマルチリソースの応答を把握・予測する。また、歴史生態学的手法により、島の暮らしの中で育まれてきた自然の文化的価値やつながりを明らかにし、資源の限られた島嶼コミュニティにおける生存基盤(Community Capability)の維持機構を探る。さらに、行動科学や制度分析を通じて、ローカルなガバナンスとグローバルな制度をつなぐ社会的構造や規範の重層性を解明し、科学知・地域知・政策知の橋渡しを通じて、それらの関連性を可視化することで、新たな価値観の創出と知の統合を試みる。
これらの学際的・超学際的アプローチを通じて、琉球弧、インドネシア・ワカトビ諸島、フィジーなど、西太平洋のサンゴ礁島嶼を比較し、異なる文化・制度・社会条件のもとで成立する順応的ガバナンスの共通原理と多様な展開を明らかにする。最終的には、「陸と海をつなぐ水循環」を軸としたマルチリソースの順応的ガバナンスを強化し、サンゴ礁島嶼におけるレジリエントな自然共生社会の実現に資する知の体系を提示する。
地球環境問題の解決にどう資する研究なのか
21世紀の地球環境問題は、気候変動、生物多様性の喪失、土地利用変化、汚染負荷の拡大など、複数の要因が相互に作用し、地球システムの安全運転領域(プラネタリーバウンダリー)の閾値を超えつつあることに特徴づけられる[。なかでもサンゴ礁島嶼は、地球規模の気候変動と地域社会の変化が最も複合的に交錯する場所であり、まさに地球環境問題の最前線に位置している。土地利用変化に伴う水循環を通じた栄養塩の海域への過剰供給は、窒素・リン循環を攪乱し、沿岸生態系の劣化やサンゴ礁の白化・崩壊を加速させており、これは地域社会の水資源利用や農業・畜産・漁業・観光などの経済活動とも密接に関連している。
本研究は、このような地球規模と地域的プロセスが交差する課題に対して、「陸と海をつなぐ水循環(Land–Sea Linkage)」を媒介とする新たな統合的視点を提示するものである。地下水流動や物質輸送を定量化する水文学的・地球化学的解析と、陸域・海域双方の生態系応答を統合的に捉える生態学的アプローチを組み合わせ、水を軸とした陸海統合管理の科学的基盤を構築する。これは既存の「Ridge to Reef(山から海へ)」の概念を発展させ、自然過程としての陸海相互作用に社会的・文化的次元を統合した新たな枠組みとして、「Land–Sea Linkage」概念を確立する試みである。
さらに、この自然科学的知見を地域の制度・文化・価値観と結びつけ、変化を受け入れながら学習と協働を重ねる順応的ガバナンス(Adaptive Governance)の形成をめざす。これにより、地域社会が環境変化に柔軟に対応し、自然と共に生きるための順応能力(Adaptive Capacity)を高めることを目指す。最終的には、人と自然が共に変化に対応しながら共生を維持する「レジリエントな自然共生社会」の実現をめざすものである。すなわち、単なる環境の「保全」ではなく、環境変化とともに人と自然の関係性を再構築し続ける社会のデザインを志向する。
また、琉球弧、インドネシア・ワカトビ諸島、フィジーなど、異なる社会生態的背景をもつサンゴ礁島嶼を対象に比較研究を行い、各地域の文化・制度・環境条件の違いを踏まえつつ、人と自然の関係を持続させる順応的ガバナンスの共通原理と多様な実践形態を明らかにする。これにより、地域で培われた知や実践を国際的な環境政策や制度設計(例:UNESCO生物圏保存地域〈BR〉、SDGs、COPなど)と接続するための枠組みを提示する。地域に根ざした知を地球規模の課題解決へと翻訳し、同時に国際的原理を地域社会に実装する双方向的な知の循環を実現することで、地球環境変化の時代における自然共生社会の構築に寄与する。
研究手法・構成・ロードマップ
本研究は、「陸と海をつなぐ水循環(Land–Sea Linkage)」を軸に、自然・社会・文化の相互作用を多層的に解明し、マルチリソースの順応的ガバナンスを強化するための学際的研究として構成されている。4つのユニットがそれぞれの専門性を活かしながら連携し、以下の4つの柱に基づき統合的に研究を展開する。
(1)陸と海をつなぐ水循環の解明【自然システムユニット(NU)】
陸域から海域への水循環を通じた栄養塩輸送過程を定量的に把握し、気候変動や土地利用変化による影響を明らかにする。地下水流動・海底地下水湧出・河川流出を対象とした水文学的観測、地球化学・安定同位体分析、数値モデル解析を組み合わせ、石灰岩・火山岩など地質条件の異なるサンゴ礁島嶼でマルチスケールの水循環構造を解明する。さらに、サンゴや大型藻類などの群集調査を通じて栄養塩動態との関係を解析し、新たな陸域負荷指標である海水交換性リン(EPS)を用いて、陸域負荷がサンゴ礁生態系に与える影響の閾値を定義する。これにより、物質循環を通じた陸海相互作用の科学的基盤を構築する。
(2)生物文化的多様性と生存基盤の維持機構の解明【生存基盤ユニット(CCU)】
歴史生態学的アプローチにより、島嶼社会における自然と人の関係史を明らかにする。古文書・地名・口承・景観など多様な資料を統合し、生活・信仰・漁撈・祭祀など文化的営為と環境との関係を復元する。これにより、島の暮らしの中で培われてきた自然の文化的価値や多様性を明らかにし、資源の限られた島嶼コミュニティにおける生存基盤(Community Capability)の維持機構を解明する。さらに、地域社会に内在する倫理・規範・実践を可視化し、順応的ガバナンスの文化的・倫理的基盤として位置づける。
(3)制度・意識・行動変容の社会科学的分析【ガバナンスユニット(GU)】
順応的ガバナンスの実践には、制度・組織・規範・意識など社会的構造が重要な媒介となる。政策文書のテキスト分析、意識調査、ステークホルダー・インタビューを通じて、制度の変遷や社会的規範の重層性を明らかにする。また、LINKAGEプロジェクトを含む複数事例のメタ分析を行い、環境ガバナンスの順応性を高める条件を抽出する。これにより、社会システムが環境変化にどう適応し得るかを理論化し、政策への橋渡しを行う。
(4)知の橋渡しと共創の実践【知の橋渡しユニット(KU)】
上記3ユニットの成果を統合する横断的基盤として、「知の橋渡し(Knowledge Bridging)」の枠組みを設ける。科学知・在来知・政策知の相互作用を促す可視化・対話・共創の手法を開発し、社会実装へ展開する。具体的には、P+MM(Projector + Mapping Model)を用いた陸海統合マッピング、市民参加型アクションリサーチ、科学教育、映像・アート・古写真などを活用した対話型の場づくりを実践する。さらに、八重瀬町や石西礁湖、ワカトビ諸島、フィジー・ラキラキなどでの協働ワークショップを通じ、地域住民と研究者が共に学ぶトランスディシプリナリー実践を推進し、科学知の社会的受容を支える共創的インターフェースを形成する。
(5)比較研究と統合的考察およびロードマップ
琉球弧、インドネシア・ワカトビ諸島、フィジーなど、異なる自然・社会・文化条件をもつ島嶼間の比較研究を通じて、順応的ガバナンスの共通原理と地域固有の実践を抽出する。CCUが明らかにする文化的・倫理的基盤と、GUが解明する制度的・意識的基盤を架橋し、KUでの共創実践を通じて両者を統合する。この比較統合の成果として、内発的共創から制度的共創へと展開するプロセスを明らかにし、サンゴ礁島嶼におけるマルチリソースの順応的ガバナンスを理論・実践両面から支える統合的モデルを提示する。
FR期間(2022–2026年度)の進行は以下の通りである。
2022–2023年度には、ユニットごとの研究深化と「知の橋渡し」を通じた統合的実践を開始。
2024–2025年度には、ワカトビ諸島およびフィジーで海外調査を実施し、陸海統合の比較分析と統合データベースを整備。
2026年度には、成果を体系化し、『Land–Sea Linkage(仮)』の書籍出版および英語論文・国際シンポジウムを通じて国際発信を行う。さらに各地域で成果還元と政策提言を進め、科学知を社会の意思決定へ循環させる。最終的に、これらの成果を統合し、「Land–Sea Linkage」に基づく順応的ガバナンスの国際展開モデルを提示することで、地球規模でのレジリエントな自然共生社会の実現に貢献する。
期待される成果
(1)科学的成果:陸海相互作用の実態解明と新たな統合指標の創出
本研究の第一の成果は、気候変動や産業構造の変化に伴うサンゴ礁島嶼における陸海相互作用の変容を、水文学・地球化学・生態学の統合的アプローチにより定量的に解明することである。地下水流動や海底地下水湧出、河川流出などを通じた陸域から海域への栄養塩輸送過程を明らかにし、リンや窒素の動態をサンゴ礁生態系の応答と結びつけることで、陸域負荷とサンゴ白化との関係を科学的に検証する。また、海底堆積物中の海水交換性リン(EPS)を新たな陸域負荷指標として確立し、サンゴ礁生態系の健全性を規定する環境ストレス閾値を提示する。これにより、物質循環と生態系応答を統合的に捉える定量的フレームワークを構築する。 これらの知見は、琉球弧、ワカトビ諸島、フィジーといった多様な地質・気候・社会条件下での比較研究を通じ、地域差を超えた普遍的メカニズムを抽出し、国際的に共有可能な知の基盤を形成する。
(2)社会的成果:順応的ガバナンスの制度化と共創的実践モデルの構築
科学的知見を地域社会の意思決定や制度形成に結びつける取り組みが進展している。八重瀬町地域円卓会議や石西礁湖自然再生協議会、沖縄県環境審議会などでは、研究者・行政職員・住民が同じ資料をもとに意見交換を行い、環境対策や地域計画に科学的データを反映させる試みが実践されている。今後は、こうした協議の場を通じて、科学的知見の共有と合意形成の仕組みを強化し、地域に根ざした環境管理の仕組みとして制度化を進める。
また、これらの地域事例を比較し、住民参加型の意思決定を支える条件や、行政が柔軟に対応できる仕組みを整理することで、各地域に適した順応的ガバナンスモデルを提示する。こうした取り組みを通じて、陸域から沿岸域に至る環境管理や資源利用に関する政策形成に実践的な知見を提供することが期待される。
(3)教育的・国際的成果:知の共創拠点と次世代研究者の育成
第三の成果は、研究を通じて形成される人材育成と国際連携の基盤である。本プロジェクトでは、国内外の研究者・行政・地域住民・学生が協働するアクションリサーチ型の教育活動を推進している。これらの活動は、研究成果を地域や国際社会へ還元するだけでなく、参加と対話を通じて新たな問いを生成する場として機能している。また、大学院生や若手研究者が異分野・異文化協働を通して研究を遂行するプロセスそのものが、次世代のトランスディシプリナリー研究者の育成につながっている。
国際的には、インドネシア・ハルオレオ大学(HOU)やITBMW、フィジーの南太平洋大学(USP)との連携強化を通じ、Land–Sea Linkageに基づく共同研究ネットワークを構築しつつあり、将来的にはアジア太平洋規模での順応的ガバナンス連携プラットフォームの形成が期待される。
研究組織
本研究は、研究代表者を中心に、自然科学・社会科学・人文科学を横断する4ユニット体制で構成されている。各ユニットが独立して専門的研究を遂行すると同時に、「知の橋渡しユニット」がその成果を統合・可視化し、全体として順応的ガバナンスの構築と社会実装を目指す。研究体制の特徴は、①学際的連携、②国際比較、③地域との協働の三要素を同時に機能させる点にある。
本年度の課題と成果
研究プロジェクト全体のこれまでの進捗
1.気候変動や産業構造の変化による陸海相互作用システムの変容
(1) 水循環・物質循環の統合的把握
与論島では、人間活動(人口、土地利用、観光業など)の変化と沿岸サンゴ礁生態系の長期的変化を解析するため、礁池内のマイクロアトール(環状サンゴ)を4地点で掘削し、30〜100年に及ぶ連続的な年輪構造を取得した。炭素同位体比の解析により、産業革命以降の大気中CO₂濃度上昇に伴うスース効果が確認され、地域スケールでの気候変動影響を示す高解像度記録として位置づけられた。3次元水循環シミュレーションモデル(GETFLOWS、MODFLOW6)と、地下水流動観測、海底湧水の湧出速度の測定、河川流量観測ならびに栄養塩・微量元素・安定同位体などの化学分析を組み合わせ、研究対象地域における水・物質フラックスや陸域負荷源の寄与率を定量化し、石垣島など高島(火山岩・砂岩・石灰岩の複合地質)及び沖縄島南部地域、与論島、黒島や多良間島などの低島(石灰岩地質)における調査により、石灰岩地域における地下水流出が海域へのリンや有機物の主経路であることを定量的に示した。地下水が淡水レンズと呼ばれる賦存形態を有する黒島を対象として、畜産排せつ物由来の有機態リンが淡水レンズ中で生じる微生物活動に伴う還元反応によって無機態リンに変換され海域に流出し、海底に蓄積されることを安定同位体分析および微生物相解析から明らかにした。
(2) サンゴ礁の生物群集とリンや有機物等の物質動態の関係解析
稚サンゴを用いた室内飼育実験により、リン酸塩の濃度そのものよりも、流入水量を考慮した「負荷量(濃度×流量)」がサンゴ骨格形成を制限する主要因であることを明らかにした。低濃度(0.5 µM)であっても流量の大きい条件では骨格形成が顕著に抑制され、「低濃度でも流入負荷が大きければ成長阻害が生じる」という新たな知見が得られた。この結果は、従来「濃度基準」で評価されてきた栄養塩影響の枠組みを超え、陸域からのリン流入を濃度と流量を統合した“負荷量”の視点で評価する必要性を示した。石西礁湖を対象として海底底質中の海水交換性リン(EPS)とサンゴ群集構造との関係を統計的に解析した結果、EPS濃度の上昇に伴いサンゴ群体数が減少し、白化や藻類被度が高まる傾向が確認された。特に、ミドリイシ属など多くの属は底質リン濃度と有意な負の相関を示す一方、ハマサンゴ属やコモンサンゴ属では明確な相関が見られず、種ごとの耐性差が示唆された。EPSの起源に関しては、農畜産業が盛んな地域やエビ養殖の排水のある沿岸域において閾値を遙かに超える地点が多数あることから、陸域での人間活動の影響が高いと推定される。これらの結果は、陸域由来リンが地下水を通じて海に供給され、海底に蓄積しサンゴ群集構造を変化させるメカニズムを定量的に示したものであり、外的要因の変化に伴う陸海相互作用の変容におけるリン循環の実態解明に重要な知見を提供した。
2.コミュニティの社会文化的な生存基盤の低下によるマルチリソースへの影響
(1)地域と協働する研究体制の構築と国際ネットワーク形成
研究者に加え、芸能・音楽などのアート関係者、地域NPO、コミュニティ博物館、教育委員会、自治体、企業など多様な主体が参画する体制を整備した。インドネシアHOUIやTBMWとの協定締結を通じ、琉球弧からアジア太平洋島嶼を視野に入れた研究ネットワークを形成した。これにより、生物文化多様性を軸とした学際・越境的研究の基盤を確立した。
(2)島の知の継承と社会的レジリエンスの強化
生物文化多様性カードを用いた住民参加型のアクションリサーチにより、高い島と低い島の自然利用と管理、ナラティブ(語りや記憶)、社会的な規範の特徴とその変遷について調査研究を行なってきた。その結果、島の自然環境や資源に応じた在来知や技法の継承、島嶼間ネットワークの柔軟性、複数リーダーの存在が地域レジリエンスを支える要因であることがわかってきた。また、在来知や世界観、記憶といった不可視な文化的価値を思考し、表現する手法を検討するため、伊江島での音楽家との協働企画「ふたつの島の湧水をめぐるソングスケープ」や、石垣市教育委員会との連携による「八重山の学校の田んぼ」など、アートと教育を通じた知の継承を研究実践した。これらの成果は『LINKAGEブックレット/アートブックシリーズ』として刊行され、地域文化資源として共有されている。さらに、2024年12月にはワカトビ諸島での現地プレサーベイとして、行政や協定大学との意見交換や、海藻養殖・コミュニティーツーリズム・小規模生産漁業・NPO・草木染めなどの地域資源を活用した女性グループ等の関係者へインタビューを行った。その結果、関係者との協力体制強化やユネスコ生物圏保存地域(Biosphere Reserve,以下BR)における漁業と観光、生態系保全の取り組みと地域課題などの基礎情報を収集することができた。対話とアクションリーサの実践に向けた議論を継続するため、2025年には合同合宿を開催することになった。
(3)地域の記憶と自然利用知の可視化
与論島での「島の自然と暮らしのゆんぬ古写真調査」を展開し、住民と協働で約5,000点の古写真を収集・デジタル化した。写真展やワークショップでは来場者が思い出をポストイットに書き込む手法を導入し、世代を超えた記憶の共有と環境変化の再認識を促した。国立歴史民俗博物館と共同で、オープンアクセスなコミュニティアーカイブとデジタル展示プラットフォームを構築した。これら成果は、教育委員会や学校、地域包括支援センターとの連携を通じて多世代での地域学習プログラムへと発展し、自然資源の記憶を「学びの素材」として再生する基盤を築いた。
3.マルチリソースの順応的ガバナンス
(1)意識・規範に関する社会調査
自然保護区や観光振興をめぐるフレーミング実験を実施し、世界遺産登録における「観光」vs「環境保全」の framing の違いが住民意識に与える影響を分析した。その結果、明確な差異は見られず、価値観が既に複合的に内在していることが示唆された。さらに、日本とインドネシアで水資源への関心構造を比較した結果、日本では地下水への関心が低く、インドネシアでは河川水と同等であることが判明し、「水の不可視性」が文化・社会環境によって異なることを確認した。
(2)行動変容・制度分析
石西礁湖地域での予備調査により、国際情勢の変化を契機に畜産廃棄物の堆肥化への関心が高まっていることを確認し、陸域から海域への負荷軽減に向けた自発的行動変容の萌芽を把握した。生物文化多様性に関しては、遺伝資源のデジタル配列情報(DSI)をめぐる国際的な利益配分交渉の分析を深化させガバナンスのメカニズムの課題を整理した。サンゴ礁島嶼の観光地化と制度的背景を整理し、沖縄・鹿児島両県での政策文書収集とユネスコBRとの接続可能性を検討した。
(3)順応的ガバナンスの理論化
ガバナンスユニットは、社会科学的手法を用いて、意識・規範・組織・制度の相互作用を包括的に分析した。まず、環境ガバナンス研究のシステマティック・レビューおよびケース・サーベイを通じ、順応性を支える三要素――①多様なアクターと能力、②リスク・不確実性の共有、③文化的・地理的文脈の制度化――を抽出した[文献2]。これにより、気候変動や社会変化に対する「学習する社会システム」としての枠組みを提示した。意識・規範に関する実証研究では、世界遺産のフレーミング効果やコロナ禍における移動受容性の研究を通じて、科学への信頼や文化的バイアスが環境意識を規定することを明らかにした。また、日本とインドネシアでの比較実験から、地下水という「不可視の資源」への関心が社会的文脈によって大きく異なることを示し、見えない環境要素の可視化と参加的管理の必要性を提起した。
4.対話と協働による知の共創:順応的ガバナンスの実践
(1)知の橋渡しツールの開発と実践:研究者・行政・地域住民の対話を促進するため、視覚化ツールP+MMやボードゲーム、地域の自然を生かした学習プログラムを開発し、地域円卓会議や科学教室(八重瀬・多良間・与論・沖永良部)などの現場で実践してきた。八重瀬町地域円卓会議では、水資源利用や流域管理に関する意思決定プロセスを可視化し、住民が政策形成に主体的に関わる場を創出した。科学教室では、地域の子どもたちが水循環やサンゴ礁の重要性を学ぶ教育プログラムを実施し、次世代に向けた「共に学ぶ」仕組みとして、順応的ガバナンスの社会的基盤を形成している。
(2)科学知と地域実践の統合
石西礁湖における海底堆積物中の海水交換性リン(EPS)の増加がサンゴ群集の減少と明確に相関することを示した科学的成果を石西礁湖自然再生協議会で共有し、石垣市の新たな環境保全活動「シン・サンゴレンジャー」の発足に寄与した。竹富町では堆肥センターの設置検討が始まるなど、陸域負荷低減に向けた地域政策へと発展している。これらは、科学的知見が地域の政策実装や住民活動と連動し、「知の共創」として具現化した事例である。
(3)バウンダリーオブジェクトを介した共創の深化
地域の歴史的写真資料を用いた「古写真ワークショップ」では、住民が過去の景観変化を語り合うことを通じて、環境変化の記憶やナラティブを共有する場をデザインし、保全行動や地域コミュニティづくりへの動機づけを強めた。
本年度の成果
(1)気候変動や産業構造の変化による陸海相互作用システムの変容
本年度は、石西礁湖に加え、インドネシア・ワンギワンギ島およびフィジー・ラキラキ地域での海外調査に重点を置いた。新たな陸域負荷指標である海底堆積物中の海水交換性リン(EPS)と、黒島の水循環モデル(MODFLOW6)で推定された陸域リン負荷量との間に明瞭な相関を確認した。これを基に、サンゴ(Acropora属)が生息可能なEPS閾値 ≈ 0.6 µg P g⁻¹を基準とした許容負荷推定法を提示し、濃度ではなく負荷量に基づく科学的管理基準の構築に貢献した。
ワンギワンギ島では、3次元水循環モデル(GETFLOWS)と現地観測により、地下水がサンゴ礁域への主要なリン供給経路であり、地下水中リン濃度が極めて低いことを確認した。また、EPS濃度とミドリイシ属被度に強い負の相関があり、属レベルでの多様度にも影響することから、EPSがサンゴ群集のゾーネーションを駆動する可能性を示唆した。島全体としては健全な生態系が維持されており、陸域負荷の抑制が機能していることが確認された。
玄武岩が分布するフィジー・ラキラキ地域では、19世紀以降のサトウキビ産業拡大により森林が農地化し、土壌流出と濁度上昇がサンゴ礁の衰退を招いたことが示唆された。異なる地質・産業構造をもつ島嶼間比較により、気候変動と人間活動が陸海相互作用に及ぼす複合的影響を解明した。今後は、季節変動を考慮したモデル精度向上と流域スケールでの物質循環解析が課題である。
(2)コミュニティの社会文化的な生存基盤の低下によるマルチリソースへの影響
本年度は、琉球弧で培った自然利用・在来知調査をインドネシア・ワンギワンギ島およびフィジーへ拡張しカウンターパートと協働体制を構築した。ワンギワンギ島では、在来知・生活史の聞き書きと古写真収集を中心に市民参加型調査を実施し、①リスク回避的知識の継承、②島嶼間ネットワークの柔軟性、③自然物の価値づけと制度変遷、④現代的課題を把握した。特に、陸地での共有林を利用するための社会的規範ParingParingが、タコへのアクセスを制限する行政主導の資源管理制度へ応用されている事例や、「季節を告げる象徴種」として認識されるアイゴ類をめぐって、産卵後個体の経済的価値の付与と、それらをコミュニティで分配する祭りが日常実践されていることがわかった。BRの環境政策として、これらの地域実践はサンゴ礁の浅海や海草藻場の保全並びに資源量管理に働くと評価されていた。本調査により、ワンギワンギ島では伝統的な在来知が経済的インセンティブや行政による資源管理に制度化されるに実例を確認することができた。次年度はこれらの事例に焦点を当てて現地調査を行う。フィジーでは、地域住民とのワークショップを通じ資源利用の変遷や現代的課題を整理し、協働研究の基盤と信頼関係を確立。 琉球弧では、与那国島での語りと絵画表現をもとに台湾以南との交流から形成された八重山の順応的ガバナンス史を描出。2025年3月にアートブックを刊行し、現地報告会を実施した。また、琉球弧全域の調査成果と先行研究に基づき約9万件の民話をテキストマイニングし、デジタルマップを作成・投稿中である。今後は、高島・低島の共通調査票を用いた聞き取りを国際的に展開し、在来知の規範化・分配構造と資源管理への影響を定量的に比較する。
(3)マルチリソースの順応的ガバナンス
本年度、インドネシア・ワンギワンギ島において、住民の自然環境や水資源への意識、観光による社会・生態系への影響を把握するための社会調査を計画し、2025年11〜12月に実施予定である。本調査は、①世帯属性、②水源の種類・利用目的、③井戸や湧水の衛生・管理状況、④水質・水量変化の認識、⑤気候変動・災害の影響、⑥観光開発への評価、⑦マングローブ・海草藻場・サンゴ礁など主要生態系の価値づけなど、生活と環境の多面的側面を包括的に把握する内容となっている。これにより、住民が感じる環境変化と生業・健康・観光との関係を定量的に明らかにし、地域社会における自然資源管理と順応的ガバナンスの社会的基盤を評価することを目的とする。2025年3月のLINKAGE全体集会にあわせて実施したメンバーアンケート調査では、研究スタイルや協働形態の多様性が確認される一方で、異分野間の相互理解の難しさが研究深化の契機となっていることが示された。ユニット間の連携不足や目標共有、タイムマネジメントの課題も明確化され、今後のプロジェクト運営における調整機能の強化や組織的学習の深化に寄与する知見が得られた。
理論的枠組みの整理としては、環境問題対応の遅れや政策形成の空白を説明する概念として「制度的空白(Institutional Void)」を導入し、Scopus収載の318件の原著論文を対象に文献レビューを実施した。分析の結果、この概念は「環境ガバナンスがなぜ機能しないのか」という問題構造を可視化する上で有効であることが確認された。今後は、この理論を島嶼地域の環境政策研究に応用し、制度的空白を補完する協働メカニズムの構築を目指す。
(4)対話と協働による知の共創:順応的ガバナンスの実践
本年度は、地域社会と研究者の協働を通じた「学びの循環」の形成を重視した。ワカトビ諸島版の生物文化多様性共通調査票を開発し、インドネシアITBMW大学の教員・学生とともに参加型調査ツールとして運用を開始した。これを基に、陸と海のつながりを多分野的に理解し、自らの専門知と地域知をつなぐ「トランスレーター」育成を目指した対話型教育カリキュラムの共同設計を進めた。
与論島では「島の自然と暮らしのゆんぬ古写真調査」により、第4回古写真展を開催し、成果をコミュニティアーカイブとして公開した。来年2月には観光をテーマとした第5回展「めぐる」を与論町観光協会との共催で実施予定であり、地域の歴史と自然を地域対話する場が定着しつつある。八重山地域では、稲作体験を題材とした教材『八重山の学校の田んぼ2』および稲作カレンダーを制作・配布し、農業文化を通じた水循環教育が学校現場に根づきつつある。石垣島や伊良部島では、高校生・小学生を対象に「水とサンゴのつながり」をテーマとした授業を実施し、地域住民と研究者の対話型学習の基盤を広げた。
沖縄・西表島で第1回LINKAGE International Workshopを開催した。ワカトビ諸島の協定機関ITBMWの研究者および地域代表を招聘し、4回のオンライン事前勉強会を経て、プロジェクトの目的と課題の共有、今後の現地観測・アクションリサーチの方法論を共同設計した。これにより、来年度ワカトビ諸島での第2回国際ワークショップ開催に向けたモニタリング体制を整備し、相互学習型の国際連携の枠組みを確立した。那覇市公設市場でスライドトークを行い、市民が50名以上参加し、サンゴ島に生きる伝承や歌、そして環境変化について対話を行った。フィジー・ラキラキ地域では、ナコロクラ村において住民と共同で地下水・SGDに関する認識共有ワークショップを実施し、tabu(禁漁区)などの伝統的管理慣行を再評価しつつ地域主導の観測体制の基盤を築いた。
干立村(竹富町西表島)では、地域住民が主体となって対話を重ね、伝統文化を軸とした自然環境の保全とコミュニティづくりのためのローカル憲章「干立村ゆいぴとぅ憲章」を制定した。LINKAGEメンバーも議論に協力し、制定後は住民主体による水資源やEPS、生物多様性のモニタリングが始動した。ローカル認証制度の有効性を検討するワークショップを開催し、地域資源の価値づけと持続的利用の仕組みを協議した。
地球研と金沢21世紀美術館の連携展示「すべてのものとダンスを踊って」や京都市立芸術大学での展示「サテライト地球研からこんにちは」では、与論島の3Dプロジェクション・住民トークを通じて研究成果を社会に発信した。これらの活動は、地域・行政・学術・芸術を横断する知の共創の実践として、順応的ガバナンスの社会的基盤形成に大きく寄与した。
目標以上の成果を挙げたと評価出来る点
海底堆積物中の海水交換性リン(EPS)とサンゴ群集の白化・被度減少との間に明確な負の相関関係を初めて実証し、リンがサンゴ白化過程に関与する可能性を世界で初めて定量的に示した。この成果は、近年「窒素がサンゴ白化を促進する」と報告され、IPCC第7次報告書でも明記されつつある国際的な潮流の中で、リン動態に着目した新たな知見として学術的意義が大きい。EPSと陸域リン負荷量の定量的関係を明らかにし、科学的管理基準の構築に向けた基盤を提示した点も当初目標を超える成果である。
目標に達しなかったと評価すべき点
今後の課題として、これらの成果を統合し、島嶼スケールを超えたマルチスケールな政策提言や、プログラム全体の理論枠組み(順応的ガバナンス、制度的空白など)との連携を深化させる必要がある。とくに、科学的知見を社会実装へと接続するためのトランスレーター育成と、国際比較研究を通じた「社会的学習の制度化」への展開が求められる。来年度は、今年度に構築された国際的な協働枠組みを活用し、国際的制度設計に向けた取り組みを一層加速させる予定である。
プログラムへの貢献について特筆すべき成果・課題
本プロジェクトは、所属プログラムである「地球人間システムの共創プログラム」の理念である「地球環境変化の中で人間社会と自然環境が共に持続的に適応しうるシステムの理解と再設計」に対し、陸と海を統合した学際的アプローチを通じて具体的な成果を挙げた。特に、物質循環・生態系・社会構造を結びつける水循環研究を軸に、自然科学・社会科学・人文科学の連携を実質化した点で、プログラムの目的である「知の共創」の具現化に大きく貢献した。
科学的側面では、海底堆積物中の海水交換性リン(EPS)とサンゴの白化・多様度低下の関係を初めて明確化し、陸域負荷と海域生態系の応答をつなぐ定量的指標を提示した。これは、従来の窒素中心の議論に新たな視点を与え、気候変動下における沿岸ガバナンス研究の新展開をもたらしたものである。
社会・文化的側面では、在来知と科学知の協働による地域ガバナンスの可視化を進め、干立村ゆいぴとぅ憲章や古写真ワークショップ、稲作体験教材などを通じて、地域住民が主体的に環境管理へ関与する仕組みを制度化・教育化することに成功した。これにより、「共創的地球人間システム」を支える社会的基盤形成が実質的に進展した。
今後の課題
来年度の研究計画
(1)陸海統合モデルの理論的深化と汎用化
FR4年度で得られる各島嶼の水循環・物質動態・EPS閾値データを統合し、陸域負荷とサンゴ礁応答の関係を定量的に記述する統合モデルを完成させる。これを地域スケールから流域・島嶼スケールへ拡張し、異なる地質・気候・土地利用条件に応じた汎用的陸海結合モデルとして体系化する。さらに、淡水レンズ構造やSGDの役割を含む「地下水を介した陸海連関」の定式化を進め、Land–Sea Linkage研究の科学的枠組みを強化する。
(2)順応的ガバナンスの理論化と制度化の接続
これまでの地域協議会・科学教室・円卓会議・古写真調査の成果を踏まえ、協働・学習・制度化の連関構造を理論的に整理する。各地域の経験から抽出された五要素(①共通目標、②モニタリングと評価、③社会的学習、④媒介と支援、⑤多様性の維持)を軸に、TDアプローチを通じた社会的学習がどのように制度へ転化しうるかを理論化する。八重瀬町や石西礁湖での実践事例を分析し、地域協働の持続条件と制度的支援の在り方を明確化することで、順応的ガバナンスの制度的モデルを提示する。
(3)国際展開と炭素循環を含む新たな統合フレームの構築
FR4で形成された国際ネットワークを基盤に、陸・海・炭素の統合管理へと研究を発展させる。一般社団法人AICaSとの協働を通じ、サンゴ礁におけるCO₂固定メカニズムの科学的検証とガバナンス的意義を探る。これにより、水・栄養塩・炭素を包含する「Land–Sea–Linkage」の概念を確立し、環境政策・ESG投資への波及を見据えた新たな研究基盤を形成する。
同時に、2027年に沖縄で開催予定のSWIM2027(Saltwater Intrusion Meeting)を国際発信のハブと位置づけ、SGD・陸海連関・ブルーカーボン研究を横断するセッションを企画し、統合的沿岸研究の国際プラットフォームを確立する。
(4)知の橋渡しと社会実装の深化
FR4で開発したP+MMや地域教材、アート・映像手法などの「知の橋渡し」ツールを用い、成果を地域社会・教育・政策に還元する。特に、地域円卓会議や科学教室を通じて得られた対話の成果を教育カリキュラム化し、次世代育成と社会変容を支える持続的実践基盤を整備する。これにより、研究成果を「制度」「教育」「文化実践」に結びつけ、順応的ガバナンスを社会に根づかせる方策を探る。
来年度以降への課題
(1)研究から得られた課題と今後の対応方針
1.陸海統合ガバナンスの制度設計
地域の協議体活動が定着しつつあるが、科学的知見を政策・制度へ反映させる枠組みがまだ十分でない。→【対応方針】自治体・研究者・住民の三者協働による「順応的ガバナン」の実装を各地域ですすめ、科学指標と社会的意思決定を結ぶ制度化を進める。
2.学際統合と社会的学習の理論化
分野横断的研究は進展したが、実践と理論の接続に体系化が必要。→【対応方針】各地域の事例比較を通じて順応的プロセスマネジメント理論を精緻化し、実践知の普遍化を図る。
3.国際展開とブルーカーボン連携
ブルーカーボン研究はLINKAGEの発展方向の一つであり、水循環研究との統合が重要。→【対応方針】AICaSおよびSWIM2027ネットワークを活用し、「Land–Sea–Linkage」枠組みに炭素循環も組み込み、その成果をアジア太平洋地域に拡張する。
(2)研究所支援体制への要望
●国際共同研究支援:海外調査許可・会計処理・試料輸送等の支援強化。
●水循環・炭素統合研究の位置づけ:ブルーカーボン研究を含む統合テーマを研究所重点分野に位置づける。
●社会発信・教育連携支援:順応的ガバナンスの成果を社会に伝える教育・展示プログラムへの支援。プロジェクト終了後の国際学会開催の支援。
(3)総括
本プロジェクトは、水循環を軸として陸と海の関係を再構築することを通じ、地域社会のレジリエンス向上を目指してきた。来年度は、順応的ガバナンスの実践を理論化し、学際的知の体系化を進めるとともに、水・栄養塩・炭素を包摂する新たな「統合的地球環境ガバナンスモデル」へ発展させる。SWIM2027やUNESCOやCOPの国際的枠組みを活用し、LINKAGEの成果を世界の島嶼・沿岸研究と結び付けることで、レジリエントな自然共生社会の実現を目指す。